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ふれあいネットワーク 社会福祉法人 全国社会福祉協議会

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分野別の取り組み

子どもの福祉

ショートステイの活用で地域の子育て家庭を支援する(母子一緒、障害児、DV対応等)
(社会福祉法人 弘前乳児院/青森県)

取材時期:2023年6月
取材者:善友乳児院 松尾 みさき 施設長
(全社協・児童福祉施設等による地域の子ども・子育て家庭支援体制の構築に関する検討委員会 委員)

取り組みの背景

少子化が進んでいる地域であり、措置入所となるケースが極端に少ない地域である。施設に空きが生じているため、地域の子育て家庭が利用しやすいショートステイとして活用している。

周辺市町村の保健師との連携において、精神疾患を抱える母親の支援について課題を有していることがわかった。そのため、これまで子ども単独でのショートステイを受け入れてきた乳児院だが、利用者目線に立ち、親子が不安なく利用するためにはどのような受入れ方法が良いのか、一緒に考えていきたいという思いに至った。親子のニーズに可能な限り沿うため、子どもと一緒に来院してもらい、事前見学を行い、どのような利用方法が出来るか、いくつか選択肢を提示し選択していただいている。

ショートステイ棟(外観)
写真:レンガ調の直方体型の2階建て。玄関口がある面に大きなひさしが接する

取り組みの概要

周辺8市町村と子育て短期支援事業を契約し、0歳から18歳までの子どもたちを単独で受入れる他、母子一緒での受け入れも行っている。また、障害児を在宅で養育する家族のレスパイト先として、毎月定期的な利用もある。さらに、市町村の母子支援担当課と連携し、母子一緒のショートステイの受け入れを2020(令和2)年度から開始し、2022(令和4)年度末までに利用実績が10件ある。昨年度からは里親のショートステイを受け入れる際の支援体制についても市町村と検討を始めている。入所施設の強みを活かし、必要に応じて夜間や早朝の緊急での受け入れにも対応している。

あくまで利用者目線に立ち、その家族に何が必要かアセスメントし、乳児院のさまざまな専門性を活かしながら個々の家族に寄り添った支援を柔軟に行っている。

ショートステイ受け入れ時の様子
写真:玄関で座って靴に手を当てる男児と、かがんで見守る3人の大人

取り組みにおける工夫

乳児院側から8市町村を積極的に訪問し、子育て短期支援事業の活用を推進している。

また、「ひろさき子ども居場所MAP」の中で、弘前乳児院が主催している「母親カフェ」を紹介し、地域の子育て家庭に広く乳児院を知ってもらう取り組みを行っている。

さらに、社会福祉法人が社会貢献活動を行う「青森しあわせネットワーク」にも参画し、子育て世代の生活困窮世帯への経済的援助や食料等の提供なども行っている。

ショートステイも含めた地域貢献活動を継続的に行うため、加算職員を可能な限り確保するとともに職員の定着を図るため、働きやすい環境づくりを常に意識している。各市町村と契約しているショートステイ事業の内容について利用希望者がわかりやすいよう、乳児院のホームページに専用ページを設け、市町村ごとの利用条件等について詳しく掲載している。

取り組みによる効果

さまざまな事情を抱える家族(精神疾患を持つ母親や障害を持つ子どもの家族等)のレスパイトとして定期的に活用したり、DVから避難した母子が母子生活支援施設へ入所するまでの期間中に利用したりと、地域の中でさまざまな課題を抱える家族を支える貴重な社会資源となっている。

地域貢献活動を積極的に行うことで、PRにもつながり、就職を希望する学生が多く集まるようになった。地域貢献活動を通して乳児院の理解にもつながり、今では地域になくてはならない施設と言ってもらえるようになっている。

ショートステイ棟(室内)

写真:流し台越しに見たリビング。L字型ソファの背中と壁についたテレビ

写真:同じリビングと、奥にキッチン。ソファの手前に座卓

今後の展望や課題

周辺地域のなかで、子育て短期支援事業未実施の市町村が2か所あるため、これまでの事例を提示しながら推進していきたい。また、里親ショートステイの利用を促進していきたい。

取り組みを検討している施設等へのメッセージ

ショートステイに関して、「乳児院だから乳幼児の受け入れしかできない」と思い込んでいる施設もあると思うが、さまざまな形態での受け入れが可能であることを再認識し、各地域において積極的に活用していただきたい。また、ショートステイは面積等最低基準さえ遵守できていれば定員を超えての受け入れも可能であるため、各地で支援を必要とする人が利用しやすい形で展開させていけたら良いと思う。

それぞれの地域の実情に合わせて、柔軟に地域貢献をしていきましょう。

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