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ふれあいネットワーク 社会福祉法人 全国社会福祉協議会

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福祉のガイド

全国各地の福祉の実践事例(見る・わかる)

虐待や権利侵害の防止~すべての人の権利が守られるように

認知症などで判断能力が十分でない人の人権や財産を守る、成年後見制度が広がりを見せています。また、児童虐待の事件は後を絶たず、さらに高齢者や障害者に対する人権侵害も大きな問題となっています。社会的弱者の権利を守り、虐待や権利侵害を防止する様々な取り組みがすすめられています。

児童養護施設紹介動画 【子どもたちの未来を守る 児童養護施設】11分56秒

増え続ける児童虐待、家庭の機能の弱体化の中、様々な理由により親と一緒に暮らすことができない子どもたちに安心して過ごす居場所を提供する児童養護施設の役割は、ますます重要になっています。

社会的養護の充実が叫ばれる中、本会では、児童養護施設の機能・役割とともに、これまであまり表面には出てこなかった、施設で暮らす子どもたちの様子、子どもたちを見守り、成長を支える職員達の思いなどを広く社会にお知らせしていく必要があると考え、映像を製作しました。

(2012年5月作成 役職等は当時)

児童養護施設とは

目的と役割

児童養護施設は、2歳から18歳までの子ども達がさまざま理由により一時親から離れて生活する施設です。

施設利用に至る理由としては、死亡や行方不明等により保護者がいないこと、養育拒否や虐待等があって保護者に養育させられない、傷病や家庭崩壊等で保護者が養育できないなど、さまざまな理由があげられます。

近年では、死亡や行方不明等で保護者が全くいない事例は減少しており、親による養育拒否や育児放棄、虐待を理由として児童養護施設に来る子ども達が非常に増えています。

児童養護施設では、一人ひとりの子どもに自立支援計画を作成し、子どもの生活全般を支えながら、子ども達が受けた心身の傷が癒され、自立に向けて成長していけるよう、支援しています。また、再び家族で暮らすことができるよう、親とも面接を行い、家族関係の調整をしていきます。

さらに、こうした専門性を生かして、地域の子育て家庭への支援を行うため、児童家庭支援センターを併設している児童養護施設もあります。

利用方法

施設の利用については、各都道府県・指定都市にある児童相談所が相談窓口になっています。利用決定は、都道府県知事・指定都市市長(措置権者)の委任により児童相談所長による「措置」という形で行われています。

支援の内容、一日の様子等

基本的には子どもの生活に関わるあらゆることを家庭と同じように支援しています。家庭を離れて疎外感、自己喪失感、不信感、不安感をもつ子どもたちを受けとめ、育む過程を通じて、子どもが自分の存在について前向きに捉え、自信をもてるようにすることを基本の目的として、児童養護施設における「養育」は、一見何気ない日々のいとなみのなかに絶え間なく24時間行われています。[1]

児童養護施設は、「大舎制」と呼ばれる20人以上を生活の単位とする施設が現在約7割を占めていますが、「小舎制」と呼ばれる12人以下を生活の単位とする施設や住宅地で民家を活用したグループホーム等の形態も広がりつつあり、より家庭に近い環境を保障していこうとしています。

学力に課題のある子どもや障害がある子どもも少なくないため、施設と学校との連携も重要です。進学や日常の学習のために、近隣の大学生や地域住民等による学習ボランティアも支援に加わることもあります。

また、児童養護施設は原則18歳までの入所となっており、自立に向けた支援や施設を退所した後のアフターケアが重要です。現在、高校進学率は95%を超えているものの、大学、短大、専門学校の進学率は23.0%(全高卒者77.4%)(H23.5.1現在)と厳しい状況です。経済面や生活面、精神面でも施設退所後の継続的な支援が必要となります。

働く人

児童養護施設には、子どもたちと起居をともにしながら、食事や掃除、洗濯、入浴、勉強等の日々のいとなみを通じて、子どもたちの「養育」にあたる児童指導員や保育士の他、家族調整を担う家庭支援専門相談員(ファミリーソーシャルワーカー)、カウンセリング等心理治療を担当する心理療法担当職員といった専門職が配置されています。

また、より家庭に近い環境での養育をめざして里親委託が推進される中、里親に対する相談支援を行う「里親支援相談員」も平成24年4月から配置されています。


[1]『この子を受けとめて、育むために~育てる・育ちあういとなみ』全国児童養護施設協議会(2008)

社会福祉協議会による権利擁護、成年後見への取り組み~認知症高齢者等を地域で支える(東京都 府中市社会福祉協議会・権利擁護センターふちゅう)

高齢者世帯においては単身世帯の増加が著しく、認知症等に伴って判断能力が低下した場合に、社会的に支援が必要な高齢者がさらに増えることが予想され、またこうした高齢者をターゲットにした消費者被害は後を絶たちません。府中市社協では、日常生活自立支援事業や成年後見制度を活用した総合的な権利擁護の取り組みをすすめています。

事業の特徴① 専門職が参画する事例検討会がチェック機能を発揮

権利擁護センターふちゅうの特徴としてまず挙げられるのは、弁護士、司法書士、社会福祉士等の外部の専門職と行政関係者、事務局(社協)等、計11名による事例検討会を定期的に開催し、チェック機能を確保している点です。

相談事例は家族・親族不在で支援受けられない状況多く、事例検討会では後見人の役割や誰が申立を行うか、後見人に誰がふさわしいか(専門職、市民後見人等)の検討を行います。

また、すでに後見等を開始しているケースについても経過報告を行い、アドバイス等行います。

事業の特徴② ともに寄り添う支援が特徴~市民後見人の養成、活動支援

特徴の2点目は、市民後見人の養成や活動支援をおこなっている点で、府中市では市民後見人の候補者になる前提として、日常生活自立支援事業の生活支援員の講習(全8回)を受け、社協の臨時職員として採用されて実務に就くことを条件としています。

権利擁護センターふちゅうの中山圭三副所長は、「市民後見人は、市民が市民を支える仕組みです。あくまで本人の伴走者として、本人に寄り添った丁寧な支援ができることが、市民後見人のメリットでもあり、期待される部分でもあります。」と話します。

平成24年度までに市民後見人として養成講習を受けて登録した方は22名。毎年の登録は5名前後と決して多くはありませんが、市民後見人になるための条件を厳しく設定しているのは、支援の「質」を重視した表れでもあります。

また、後見人等の活動支援のため年1回「親族後見人等懇談会」「第三者後見人等情報交換会」の開催により、様々な情報交換を行い、親族後見人や専門職後見人、市民後見人が集まり、情報交換を実施しています。

特に親族後見人は、その多くが介護者としての悩みや苦労を抱えており、そうした介護者や応援ボランティアの人たちが気軽に集まれる場づくりについても、府中市社協として今後すすめる予定です。

情報交換や学習会の様子
介護者応援ボランティアでは、情報交換や学習会を定期的に開催

権利擁護センターふちゅうの写真
9名の職員体制で運営する権利擁護センターふちゅう(右側が中山副所長)

事業の特徴③ 入院・入所、死亡後手続きの心配に備える社協独自の保証機能サービス

特徴の3点目は、市社協独自の「あんしん支援事業」が挙げられます。

単身世帯の増加、家族関係の希薄化等を背景に、入院や施設入所の時に保証人になる人がいなかったり、死亡後の事務手続き等ができないことが課題になったことから、入院時・施設入所時の保証人に準ずる手続き支援、葬儀・埋葬等に関する手続き等の支援を事業化したものです。

潜在的なニーズは多くこれからも利用が増えると市社協は話しています。

(2013/8/28)

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