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生活困窮者自立支援制度の着実な推進

平成27年4月より、セーフティネット対策として、生活困窮者自立支援事業が本格実施されました。本事業を受託した全国540か所余の市社協等で、既存の制度では対応できない狭間の福祉ニーズに対する相談・支援が展開されています。



厳しい生活問題の相談・支援に取り組む社会福祉協議会の実践
全国社会福祉協議会政策企画部

狭間の困窮問題への相談、支援に取り組む社協活動の強化

重層的なセーフティネット対策が喫緊の課題

人は生きていくうえでいろいろな生活課題、困難やトラブルに直面します。就学、就職、結婚、出産・育児などのさまざまな出来事(ライフイベント)は、生活の変化を伴い、ときにリスクをもたらします。また、予期せぬ病気、失業、事故や災害、犯罪被害、あるいは人間関係や虐待をはじめとする家族関係の不全など、個人の力では予防や解決できないことも起こります。

そうしたリスクを社会全体で分かち合うことが必要であり、いざというときを支えるのが「セーフティネット」です。

近年は、経済的困窮状態のみならず、多様で、複雑な生活問題を抱えた人々が増えつづけ、既存の制度では対応できない狭間の福祉ニーズに対応する支援として、新たなセーフティネット対策の整備が喫緊の課題とされてきました。


厳しい生活問題に対応力が問われている

平成27年4月、新法のもとに困窮問題へ対応する生活困窮者自立支援事業が本格実施されました。困窮した状態にある人々への総合相談・支援の事業が、1,128カ所余の福祉事務所設置の行政域で、行政直営や民間委託により社協などが実施主体となって取り組まれています。受託した市社協は543カ所、町村部を範囲に広域で本事業を受けた県社協は19カ所です。また、委託されていない社協にあっても、地域での生活問題への相談・支援は社協の本来事業です。地域コミュニティに横たわる狭間の生活問題などを捉えて、関係機関との連携のもとに、主体的に相談・支援に取り組んでいくことが必要です。

本事業の基本はすべての相談、支援にあたるという姿勢です。さらに、任意事業として就労支援、家計相談、子どもの学習支援などを一体的に進めることで、困窮問題の解決、そして自立支援を促すものです。

全国の相談窓口には、4月から7月までに、1か月あたり平均2万件程度、計8万件ほどの相談が寄せられています。

社協関係者の受けとめは、総じて「相談内容は多様かつ複雑で、厳しい課題が寄せられている」という実感です。それゆえに、①相談・支援を担う専門職の人材確保・養成、②福祉事務所、児童相談所、ハローワークなど他機関との連携・協働、そして③社会福祉法人・福祉施設などとの共同事業の展開、さらには④本事業の体制整備、⑤事業の安定・継続のための財政確保などが必要不可欠な課題です。


15年前に貧困・格差の警鐘、社会的援護を要する人々への支援が指摘された!

1975年から90年代にかけては「一億総中流」とし、日本は豊かな社会といわれ、一方、社会問題である「貧困はすでに終わった問題」のように捉えられていた。

その後、1992(平成4)年のバブル崩壊から日本経済はデフレに陥り、1998(平成10)年には日本列島総不況へ、雇用環境はリストラ・失業の嵐の真っただ中となり、新たな格差・貧困などの問題が顕著化していく。

そうした情勢下、2000(平成12)年6月に社会福祉基礎構造改革が実施される。その理念は「個人が住み慣れた地域において、人としての尊厳をもって、その人らしい自立した生活ができるように支える」とあった。その構造改革に合わせ、厚生省(当時)は「社会的な援護を要する人々に対する社会福祉のあり方に関する検討会」報告を平成12年12月に出す。報告には、「近年、社会福祉の制度が充実してきたにもかかわらず、社会や社会福祉の手が社会的援護を要する人々に届いていない事例が散見されるようになっている」、「社会経済環境の変化に伴い、新たな形による不平等・格差の発生や、共に支え合う機能の脆弱化が指摘されている」とある。そして、現代における社会問題や生活問題が重複・複合化し、新たな課題の座標軸(参考:図)にて、社会不安・ストレス、引きこもり、孤立・孤独、虐待等問題、貧困や低所得、リストラ・失業、多重債務、ホームレス、社会的排除、自殺、若年層の困窮などの「見えにくい」諸問題を提起した。

つまり、今後、貧困・格差などの問題が社会・生活の様相の変化と相まって、大きな社会的テーマとなっていくと警鐘を鳴らしたのである。

それは、2000年の改正社会福祉法のもと、社会福祉法人関係組織などが創設の趣旨に立ち返り、地域の福祉問題を発見・対応する取り組みを強化すべきとの課題の投げかけであった。しかし、この15年間を振り返ると、格差・貧困問題は多様で、複雑な生活問題をまじえ、一層厳しく社会のなかで広がっている事態にある。



出典:「社会的な援護を要する人々に対する社会福祉のあり方に関する検討会」報告書

(2015/11/30)


町村部における自立相談支援事業(岩手県社協)

訪問や同行支援が重要

岩手県社会福祉協議会では、盛岡圏域5町(面積1,710k㎡)を対象とする自立相談支援事業を、主任相談支援員1名、相談支援員1名、就労支援員1名の3名体制で実施しています。

相談支援員、就労支援員は生活福祉資金相談員を兼務し、償還指導に関わりながら、滞納者への生活相談、就労支援も行っています。

各町社会福祉協議会が初期相談の拠点になりますが、交通機関がない場合や、交通費がない等の理由から、支援機関まで足を運べない方がたも多く、訪問や、送迎を含む同行支援が重要な活動となっています。


相談できる場所ができた

平成27年4月から8月末までで、新規相談者65名、うち就労に結びついた者13名。訪問・同行支援を含めたのべ相談件数は448件です。

昨年のモデル事業開始時は、事業の理解が進まず、関係機関からの相談が低迷していましたが、モデル・実践を通じて事業の理解や周知も徐々に進んでいます。

モデル事業の対象となった2町では、その実績が評価され、本格施行に併せて、行政・社協では、独自に生活困窮者を支援する職員の人件費を確保するなど体制が整備されており、相談者からは、「誰にも相談できず自殺も考えたこともあった…」とか「相談できる場所ができてよかった」、との声もあり、セーフティネット効果が表れてきていると感じています。


より身近な相談体制へ

都市周辺の町では、関係機関・団体の支援が受けやすい状況にありますが、債務整理の相談や食糧支援のニーズが増える中で、都市部から遠距離にある町では、支援機関から遠く、利用しにくいといったこともあります。

今後は、より身近なところで相談できる体制整備、アウトリーチ手法の強化、相談内容の深刻化に対応したスーパーバイズ体制の確立などが課題であると考えています。



食糧支援を行っています

(2015/11/30)


ターミナル駅を抱える地域での自立相談支援事業(豊島区民社協【東京都】)

任意事業との組み合わせできめ細かい支援

<自立相談支援事業>必須事業

総合相談(アセスメント・スクリーニング・支援プラン作成)、自立支援センター入所等手続き、住居確保給付金申請受付業務、支援調整会議の開催、関係機関等との連携等を行っています。

関係づくりがとても大切なため、「とりあえず相談は断らない」というスタンスでお話をお聞きします。そのうえで、訪問・同行などを含め、きめ細かい支援をするよう心がけています。


<家計相談支援事業>任意事業

収支状況の把握・アドバイス、滞納相談への同行、債務整理に関する相談・弁護士との連携業務を行っています。


<生活困窮世帯の子ども支援事業>任意事業

地域の学習支援団体のネットワーク化・連絡会議の開催、支援が必要な子どもの把握・関係機関や学習支援団体等へのつなぎを行っています。

その他、就労支援事業は民間人材派遣会社、就労準備支援事業はNPO法人が受託し、連携しながらきめ細かい支援を行っています。


5カ月間の対応件数はのべ2,734件

  • 平成27年度体制:5名(主任相談支援員1名、相談支援員4名)
    ※「家計相談支援員」「子ども支援員」を兼務

  • 相談支援件数等(社協対応分平成27年8月末現在)

広報・緊急支援・住宅確保・経済観念

支援を行っている中での課題のキーワードは「広報」「緊急支援」「住居確保」「経済観念」です。

まだ窓口について知られていないこともあってか、所持金がほとんどないなど事態が差し迫った状況で相談にいたる場合が多いです。しかし、住居確保給付金以外の独自の給付や貸付の制度をもっているわけではなく、食糧支援等を含め、緊急支援の必要な方への支援メニューが少ないことが課題です。

あわせて、ターミナル駅池袋駅があり、ネットカフェ・公園・路上等で生活をされている方からの相談も増えています。また、人口密度全国1位の密集地であり家賃も高いため、住居に関する相談が多いという特徴があります。支出の優先順位のつけ方に課題があったり、借金に対するハードルの低さなどが見受けられるケースが多く、「家計相談」を実施している如何に関わらず、支援をしていくうえで収支状況の把握をしていくことは大切であると考えています。

(2015/11/30)


社協らしい「地域福祉型」の生活困窮者支援へのチャレンジ(堺市社協)

社協の強みを活かし、ニーズを掘り起こす

相談支援にあたっては、①早期発見、②伴走型、③チームアプローチ、④フォローの4つを重視しています。一時的に課題が解決した人でも、民生委員や地域の人に、何か変化があったときの連絡をお願いするなど、継続的な見守りを意識しています。

週1回、各区役所の相談窓口で巡回相談を行っています。その他にも社協が実施する他の相談事業や地域包括支援センター、民生委員などから相談が寄せられ、社協の強みを活かし、地域から支援ニーズを吸い上げたり、ニーズを掘り起こすことにつながっています。


相談支援と就労支援が連携し、就労決定率70%

相談支援員(社協)が生活面のサポートを行い、就労支援員(民間人材派遣会社)と役割分担・連携を図ることにより、平成27年4月~8月の5カ月間で、就労支援が必要な人の約70%が就職することができました。相談者は、20~50代の稼働世帯が約7割を占め、社協に寄せられる相談内容、相談者の幅が広がっています。地域住民の気づきから、関係機関と連携し、複合多問題世帯に包括的な支援を展開するなど、孤立している方のニーズへの支援につながることも考えられます。


地域での居場所づくり

ニーズがあることには気づいていても、相談したりつなぐ先がないため、介入することができないケースがあり、民生委員等への働きかけをより一層強化していくことが課題です。

また、一般就労だけを目標とするのではなく、ボランティア活動などの社会参加の機会や、地域での居場所づくり、社会福祉法人等に働きかけて中間的就労の場を広げていくことが必要です。そのほか、困窮者支援を通じて既存の資源やネットワーキングを活用、再構築することが今後の課題です。

  • 相談支援件数等(平成27年8月末現在)

相談窓口の様子

(2015/11/30)


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