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福祉のひとに聞く【働くひとに聞く】

相談援助職(市区町村社会福祉協議会) ご利用者の人生を擬似的に体験し、未来の生活プランを描く

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PROFILE

比留間 敏郎

私の仕事

一人では生活に関わる判断が難しい方の思いを理解し、支援する

社会福祉協議会の職員として、日常生活自立支援事業に従事しています。具体的には、認知症の高齢者や知的や精神障害のある方など、一人では生活に必要な選択・判断・決定を行うことが難しい方に助言を行い、快適な暮らしをサポートするのが仕事です。例えば介護保険のサービスを使うとしても、誰もが適切なサービスを自分で選択し、利用できるとは限りません。高齢になって判断力に自信が持てなくなると「どうしていいのかわからない」という方が増えてくるし、認知症や何らかの障害を抱えている方ならなおさらです。そうした方と面接を行い、すでに介護サービスを利用している場合でも、「そのサービス内容で本当に満足なのか」「他にもっといい方法はないのか」を一緒に考え、必要であれば担当ケアマネジャーに伝えたり、関係機関に相談したりしながら、その人らしい生活を実現するのが私たちの仕事だと思っています。
大切なのは、今、目の前にある課題ばかりを解決するのではなく、その方が生きてきた世界をしっかりと理解し、「今この人はどのような思いで生活しているのか?」「これからどのように生活していきたいと思っているのか?」「その生活を実現するためには何が必要なのか?」を、一緒に考えることです。
初めてご利用者から話を伺う際には、頭の中を白紙の状態にしておくことを心がけています。私たちのところへ相談が来る時は、「これこれ、こういう状況です」という事前情報も入ってきます。でも、他人のフィルターを通して見た情報を元に「解決への道筋」を考えたのでは、それはご本人の希望とは関係ないものになってしまいます。事前情報と基本情報は、きちんと使い分けることが重要ですね。その人はどんな地域で、どんな家庭で育ったのか。どんな学校へ行き、どんな仕事を経験し、奥様や旦那様と出会い、どんな家族とどんな暮らしを営んできたのか。ご利用者が生きてきた世界を辿り、しっかりと理解し、自分の中に「その人像」を作っていくことで初めて、「この人はこういった考えの持ち主かもしれない」という仮説が立てられるんです。それをご本人に確認しながら支援計画を考えていけば、認知症がさらに進んで「こうしたい」という意見が言えなくなったとしても、その人らしい生き方をサポートできる。それが私の目指している仕事のあり方です。 私よりはるかに人生経験豊富な方の世界を擬似的に体験し、その思いを理解し、未来に向けた新しい生活をお手伝いしながら、最後の瞬間まで寄り添っていく。それはとても責任の重い仕事ではありますが、それ以上に大きなやりがいを得られる仕事だと感じています。
私は現在、「介護福祉士」「社会福祉士」「ケアマネジャー」の3つの資格を持っています。「社会福祉士」は「持っていることが望ましい」といわれるため、現在の職種に就いてから猛勉強して取ったもの。また、ケアマネジャーと関わる機会が多いので、彼らがどういう知識に基づいてプランを立てるのかを知るために「ケアマネジャー」の資格も取りました。とはいえ、私たちのような「相談援助職」は、資格さえあればよい仕事ではありません。むしろ、福祉に偏らず、幅広い経験を積んでおくことが役立つと思っています。
「福祉」というと、保護的で「救わなければいけない」という発想になりがちですが、それだけで人は支えられません。認知症になろうが、障害があろうが、その人はその人としてたくましく生きているのです。だから、この仕事を目指すのであれば、「福祉の目」だけでなく、その人を理解し「人間としてしっかりと見る目」を養って欲しい。そのためには、プライベートなどで意識的に自分を磨いていくことが大切だと感じています。

忘れられないエピソード

支援するのではなく利用者本人の力を引き出す、その手助けを行う

「福祉=保護する」だけでは成り立たないことを、心底痛感したエピソードをお話ししましょう。
ことの発端は、ある種の依存症から抜け出せずにいる男性の支援者からの相談でした。保健所や民生委員を通じてやってきたその相談は「当時、入院治療中の男性が退院後一人で生活するのは難しいと考えている。そのため退院後の生活を一緒に考えてほしい」という内容で継続的に面接の相談を行いました。その過程で、高齢のお母さんが存命であることがわかったんです。でも、そのお母さんはどこに・・・?
八方手を尽くして探してみると、老人保健施設に入所していることがわかりました。数年前に脳溢血を発病したため、体に麻痺が残り、自宅での生活が難しいと判断し、入所したとのことでした。さっそく施設に伺ってご本人と話をしたところ「できれば自宅に帰りたい」という希望を持っておられました。そこで、在宅で生活するためのリハビリテーションを行うのと並行して、必要となる在宅サービスを調整。まもなく、自宅に帰ることができました。
一方、ことの発端となった息子さんの方は、依存症治療のために一旦入院し、生活保護を申請。退院後はアパートでの一人暮らしをスタートさせました。ところが、依存症とは恐ろしいもので、その後も2度の入退院を繰り返します。最終的に施設に入所することになったのですが、そこでの生活にもなじめず退所してしまいました。そのとき、治療に立ち会ってきた医師が打ち出した方針は「本人が自ら助けを求めてくるまで、一切手を出してはいけない」というものでした。生活保護を打ち切られ、アパートも引き払った息子さんは、ホームレスになる可能性もありました。いろんな意味で危険な状態ではありますが、これは息子さんの自己責任で乗り越えなければならない問題です。「福祉」で簡単に保護してしまうと、なかには依存を助長してしまうケースもあります。関係者の誰もが、心を鬼にして、息子さんの「人生」を見守り続けました。
数カ月後、息子さんは自転車事故に会って入院。退院を機に、再び保健所と私たち「地域あんしんセンター」が関わり、支援を行うことになりました。再度生活保護を申請し、施設に入所してもらい、現在も私が担当して支援を行っています。
こうして私たちが対応しているのは、本当は氷山の一角に過ぎないと感じています。今回のケースでもわかるように、多くの場合、私たちに相談してくるのは行政や地域包括支援センターなどの関係機関であり、本人自身は困っていない、あるいは困っていることに気づいていない。でも、私たちが支援するのは関係機関の人たちではなく、困っている本人なんです。
本人にとって「幸せな生活」とはどんなもので、どう支援したらそこに届くのか。これまでの人生が10人10様なら、これからの人生も10人10様のハズです。様々な人生に向かい合うのは大変なこともありますが、私はこの仕事に大きなやりがいを感じています。
私のスーパーバイザーから言われるのは「私的な自分で対応するのではなく、職業的な自分をしっかり作れ」ということです。プロである以上、自分がやる仕事には責任を持つ。どんな相談でも受けられるよう、職業的な自分を鍛え、もっとキャパを広げたいですね。相談援助職は、もっともっと高められるものだと思っています。

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